「アスリートはSNSを使うべきか」というのは度々議論になります。「結果を出すことに集中すべきだから、やる必要はない」、「アスリートのことをもっと知りたいからやって欲しい」などといった様々な意見があります。
そうした賛否両論の「アスリートによるSNS活用」について、そのメリットや運用方法について詳しく書かれたのが本書になります。SNSが登場したことで生じた接触メディアの変遷、アスリートがSNSを活用すべき理由、国内の好事例について書かれているため、このトピックについて触れたい方にとっては良書です。
また、アスリートだけでなく、ビジネスマンにとっても非常に学びの多い書籍です。それは、アスリート→ビジネスマンと置き換えて考える場合や、アスリートをプロモーションに起用する際に、とても参考になる本です。
本記事では、本書の重要ポイントと、ビジネスマンはこの本をどう活用したいいかを考え、3つのポイントにまとめました。
著者:五勝出拳一、飯髙悠太、江藤美帆、澤山モッツァレラ、甲斐雅之
単行本: 192ページ
出版社: マイナビ出版
発売日: 2019/12/26
この本を購入した目的
- アスリートによるSNSの活用方法のノウハウを知りたいと考えたため
- アスリート→ビジネスマンとして置き換えて、活用できる点を探るため
- 選手を起用したプロモーションを企画する際に、SNSをどう活用すべきかを学ぶため
ビジネスマンが読むべき3つの理由
①アスリートを自分に置き換えて、高めるべきVALUEが分かる
本書では、アスリートが高めるべき3つVALUEが紹介されています。
3つのVALUE
Player VALUE = 選手としてどれだけ試合の勝利に貢献できるか
Market VALUE = 市場および社会から求められているか、影響力があるか
Story VALUE =選手が持つ文化的価値のことで、ファン・サポーターに共感を生み出せるか、Market Value を捕足する形で機能する
高価値なアスリート=3つの VALUE を備えた状態
これを、ビジネスマンに置き換えると、以下のようになると考えます。
Player Value = 自社のビジネスにどれだけ貢献できるか
Market Value = 自分のスキルや実績が社会的にニーズの高いものなのか
Story Value = 自分の仕事に周りの人を巻き込めるほどのストーリーを生み出せるか
高価値なビジネスマン = 3つの VALUE を備えた状態
ビジネスにおいては、どれだけの実績やスキルがあっても、周りの人を巻き込めないと限界がきます。そのため、SNSで自分のやりたいことへの想いを日頃から発信したり、社内SNSや同僚や上司とのコミュニケーションを通して、自分のやりたいことを周知するといった活動で Story VALUE を高めることが重要です。
結果として、適切なタイミングで仲間が見つかりやすくなり、最終的には Player Value と Market Value の向上にも繋がると考えます。黙々と実績を積み上げたりスキルを磨くことも大事ですが、それに合わせて、自分の想いを周りの人に伝えていくことが、ビジネスマンにおいても重要と言えるでしょう。
②アスリートを活用したプロモーションをする時に意識すべきことが分かる
次は、ビジネスマンとしてアスリートを自社のプロモーションに起用する際に重要なことについて考えます。選手をプロモーションに起用する際には、スポンサー契約を結ぶことが多いかと思いますが、本書では、そのスポンサーシップについて、従来と現代であり方が変わってきていると述べられています。
従来:広告塔やスポークスマンとしてのスポンサーシップ
→アスリートが企業の広告塔となり、企業が発したいメッセージが4大メディアを通じて多くの生活者に伝わっていた。
現在:コミュニティスポンサーシップ
→SNSによってアスリートとファンがすでに繋がっているため、選手の想いや哲学がすでに浸透しているため、選手のパーソナリティと企業のブランドイメージをシンクロさせるのが重要
つまり、アスリートを起用した広告などを行う場合、そのアスリートが日頃発信している内容やその想い、繋がっているファンの特性を十分理解する。そして、そこに企業としての想いを乗っけることで、その効果を最大化させることができるということです。
あまり予算がない場合でも、アスリートや繋がっているファンの特性によっては、効果的なプロモーションが可能になることもあると思います。そのためには、事前のリサーチやアスリートとの事前対談などをして想いを聞いてから進めるのが重要でしょう。
③アスリート×SNSの成功事例が分かる
本書には、アスリートがSNSを活用した多くの国内事例が掲載されています。また、その1つひとつが様々なアプローチで語られており、活かすことができる事例も多いかと思います。
その中でも特に勉強になったのが、以下の3つの活用事例です。
- 41ユニ
→ヴァンフォーレ甲府の武岡選手が、自身の背番号である41番のユニフォームを持っているファンを試合後にピッチに集めて一緒に記念撮影をするという企画。SNSを活用したファンとの交流した好事例。 - 行くぞACL
→#行くぞACL とついたツイートを当時コンサドーレ札幌に所属していた都倉選手が投稿。ファンにその想いが伝わり、拡散した事例。短く、分かりやすい、検索しやすいハッシュタグの活用がポイント。 - スキルシェア
→SNS上で、アスリートが自身の取り組むスポーツのスキルの解説動画を投稿。ファンが真似して自分で動画を投稿するようなUGCも生まれやすいため、波及効果を生み出しやすい。
上記以外にも、様々な事例が紹介されています。アスリートの影響力をSNSでどのように拡張させていくか。今後も注目のマーケティング手法になっていくかと思います。
まとめ
最後のまとめとして、「アスリートのためのソーシャルメディア活用術」の購入がオススメなのは以下のような人です。
買うべき人
- アスリートとしてSNSを活用したいと考えている方
- ビジネスマンとして、SNSを活用し、成果を上げたいと考えている方
- アスリートを起用したプロモーションの効果的な方法知りたいと考えている方
まだ読んでいない方は、ぜひ購入して、自身のビジネスやアスリートを起用したプロモーションに活かしていただけたらと思います。
*注意事項にも書かれていますが、kindle版だと文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できないため、書籍の方がおすすめかもしれません。