IBMの人工知能「Watson」が全米オープンテニスのハイライトを自動作成?AI×スポーツの新ソリューション!

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引用:https://www.engadget.com/2017/08/30/ibm-watson-us-open-tennis-highlight-videos/
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 2017年の8月28日から9月10日にかけて全米オープンテニスが開催されました。テニスの4大大会”グランドスラム”の1つにも数えられる大会です。

この全米オープンテニスのスポンサーであるIBMは自社の人工知能「IBM Watson Media」を活用し、ファンの観戦体験を最適化するソリューションを提供しました。

テニスの試合の大事な瞬間(ハイライト)を自動判別

 IBMは自社の人工知能(AI)である「IBM Watson Media」を全米オープンテニスに提供し、試合の重要な場面を認識しハイライト動画を自動で制作しました。

この「IBM Watson Media」は、Machine Learning(機械学習)をもとに画像、動画、言語、感情や人間の表情を分析することができます。これにより、IBM Watson Mediaは、観客や選手のアクションや表情などから試合の重要な場面を自動判別しハイライトを作り出すことが可能です。

IBM Watson Mediaによるハイライト動画作成についてまとめた動画があるのでご覧ください。(英語)

IBM Watson Mediaによって作られたハイライトは、以下の4つの方法で視聴が可能です。
  • USオープンの公式facebookにアップロードされるその日のハイライト動画。(“Highlight of the Day,”)
  • USオープン公式アプリ。お気に入り選手を登録しているファンはその選手のハイライトをリアルタイムプッシュ通知で受け取ることもできます。
  • アメリカテニス協会の持つ全てのデジタルプラットフォーム内の選手紹介ページ
  • 現地のプレイヤーラウンジや、コート近くのIBM Watson体験広場

(引用:http://www-03.ibm.com/press/us/en/pressrelease/53068.wss

公式アプリに掲載されている"Cognitive Highlight"(参考:公式アプリ)
公式アプリに掲載されている”Cognitive Highlight”(参考:公式アプリ) 

 通常ハイライト動画はスタッフや専門の制作会社等が動画を編集して作成することが一般的であるかと思います。しかし、この IBM Watson Mediaを活用することでその編集時間を大幅に短縮することができ、作業の効率化に大きく貢献しています。

IBM Watson Mediaによるハイライトの自動作成は、今年の4月に行われたゴルフのゴルフのマスターズ・トーナメント、6月に行われたテニスのウィンブルドンといった大会でも提供されており進化し続けています。

AIによるハイライト動画の自動作成は非常に画期的な取り組みではありますが、IBM Watson Mediaがその他にどういった効果をもたらしているか、そしてスポンサーするIBMの狙いを考察しました。

ファン体験を最適化

 このIBM Watson Mediaがもたらすものは、ハイライト制作の時間削減だけでなく、ファンの観戦体験の最適化です。

全米オープン期間中には、様々な会場で試合が行われているため、気になる試合が他にあったとしてもすぐさま他会場のハイライトを確認することはできませんでした。しかし、IBM Watson Mediaにより会場にいる観客やテレビで観ている視聴者は公式アプリなどにアップロードされた映像を自分の好きなタイミングで確認することができます。

特に、公式アプリを通してお気に入り選手のハイライトをプッシュ通知で知らせてくれる機能は、ファンひとりひとりの好みに合わせた情報を発信できる点で非常に魅力的です。

消費者が自分で情報を取捨選択できる現代において、パーソナライズしたコンテンツを届ける重要性が高まってきています。それはスポーツにも言えることですし、それぞれのファンがもとめる情報をリアルタイムに適切に配信し、ファンの体験を最適化することで満足度を高めることができます。

ハイライト制作の効率化、ファン体験の最適化をもたらしたIBM Watson Mediaですが、提供主であるIBMにはどういった狙いがあるのでしょうか。

スポーツイベントを活用した自社製品のプロモーション

 IBMの狙いは自社の人工知能「IBM Watson Media」のプロモーションであると推察します。

全米オープンは、グランドスラムの1つに数えられる世界的にも注目度の高い大会です。そうした多くの人々の注目が集まる場に自社製品を提供することで、多くの人にその存在を認知させることができます。また、クリーンなイメージのあるテニスというスポーツの大会への提供ということでイメージアップにも繋がり、ブランディングとしての効果もあります。

BtoB企業であるIBMのクライアントは基本的には「企業」です。企業にとってはIBMの製品を活用した取り組みを開示するメリットがないため、契約料を下げるといったメリットがない限り、クライアントの事例をもとにしたケーススタディを作成することは困難です。

しかし、スポーツイベントはその障壁は下がります。近年では、パナソニックやSAPといった企業がスポーツを支援したケーススタディを積極的に発信しています。スポーツにはテクノロジーを導入することで解決できる問題が非常に多いため、そういった技術を持つ企業にとっては自社製品をプロモーションする場としてスポーツは非常に有効です。

今回 IBMが提供したテクノロジーは人工知能(AI)であり、最も注目されているテクノロジーの1つです。人の表情やアクションを自動で認識し、そのデータからアウトプットを作成できるIBM Watson Mediaは、店舗に来る消費者、コンサートの観客、屋外広告を見た聴衆の分析など、数多くの場面で活用することができます。USオープンへの提供を通してそうした可能性を多くの企業担当者にアピールすることができます。

このようにスポーツへの技術提供は、自社製品を実際に導入した事例をプロモーションできる絶好の機会であると言えます。

ハイライトの冒頭にWatsonと記載されています。(参考:公式アプリ)
ハイライトの冒頭にWatsonと記載されています。(参考:公式アプリ) 

プロスポーツ以外への期待

 IBMは、IBM Watson Media以外にも、公式アプリの制作、AIによる音声対応機能、デジタルプラットフォームを守るセキュリティー、選手やボールの位置を分析するテクノロジーなども提供しています。特に公式アプリは、広告やスポンサーのコンテンツを掲載するプラットフォームとして、収益拡大や他の企業のスポンサーシップの最適化に貢献しています。

こうしたIBMといった企業によるスポーツへのテクノロジーの導入は、プロスポーツだけでなく運営基盤が確立されていない学生スポーツやマイナースポーツなどでも大いに活用できます。むしろ、そういった環境が整備されていないスポーツにこそ求められているのではないでしょうか。自社のテクノロジーを積極的に提供し、スポーツビジネスを推進していくスポンサー企業が今後も増え続けていくことを期待したいと思います。

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