今回は、UEFAチャンピオンズリーグのオフィシャルスポンサー「ハインケン」によるスポンサーシップのアクティベーション事例をご紹介します。
ハイネケンは、2016年にイタリア・ミラノで行われたチャンピオンズリーグ決勝戦アトレィコ・マドリード対レアル・マドリードに際し、「屋外広告」を活用した画期的なキャンペーンを行いました。
「100文字のハッシュタグ」でミラノの街を一色に
ハインケンは、CL決勝の開催都市ミラノを「100文字のハッシュタグが書かれた屋外広告」で一色にするというキャンペーンを行いました。
*屋外広告は建物やビルなどの街中に掲載されている広告です。
一連のキャンペーンがまとめられた動画があるのでご覧ください。
Heineken – The Final Hashtag from Andrea Raia on Vimeo.
このキャンペーンは「The Final Hashtag」と名付けられ、世界的な広告代理店「Publicis」と共に実施されました。
100文字のハッシュタグを1文字も間違えずにツイッターでつぶやくことがキャンペーンの応募条件となっており、当選した2人のファンにCL決勝のチケットがプレゼントされました。
ミラノの700以上の場所に屋外広告を掲載したこのキャンペーンは大きく拡散し、400万インプレッション、購買意思を34%増加させるなど、非常に話題となりました。
今回は、この「The Final Hashtag」の優れた点を考察しました。
1. ハッシュタグのメッセージ
このキャンペーンには、ハインケンがチャンピオンズリーグのスポンサーであることを活用し、自社ビールのクオリティーをアピールするという狙いがあります。
ハッシュタグにはハイネケンビールの美味しさの秘密が含まれています。ハッシュタグの内容を、イタリア語、英語、日本語にまとめました。
イタリア語
#ACQUAMALTOLUPPOLOEFERMENTAZIONEORIZZONTALEDA143ANNIILSEGRETOHEINEKENTWITTALOGIUSTOEVINCILAFINALEUCL@HEINKEN_IT
英語
Water, barley hops and horizontal fermentation are the secrets of the Heineken since 1873 tweet right to win the UCL final
日本語
水と大麦ホップと水平発酵が1873年から続くハイネケンの秘密です。正しくツイートしてCL決勝のチケットをゲットしよう。
このように、ハッシュタグの中にハイネケンが伝えたい自社ビールの特徴を含めることで、ファンにそのイメージを訴求することができます。ハインケンといえば「UEFAチャンピオンズリーグのスポンサー」というイメージを訴求することも大切ですが、自社ビールの良さを伝えることも重要です。
2. 屋外広告の活用方法
このキャンペーンのもう1つの優れた点は、屋外広告の活用方法です。
CL決勝間際の短期間のみ、700以上の屋外広告で一色にすることで、決勝に向けて盛り上がるミラノの街をデコレーションするような形で自然に溶け込むため多くの人々の目を惹きつけることができます。
どこの街に行っても様々な屋外広告を目にしますが、生活の一部になり過ぎていたり、ただの宣伝の広告となっていたり、人々の印象に残るものは数多くないでしょう。しかし、今回のキャンペーンのように、短期間に大量の広告を適切なタイミングで掲載することで、人々に強い印象を残すことができます。
これだけ大量の広告を一度に街中に掲載するには、開催都市であるミラノ、広告主などと調整する必要があります。しかし、そこは広告代理店「Publicis」が広告枠を確保していたことで、実現できたのだと推察します。いずれにせよ、1つの街の700以上の屋外広告を確保するために、計画的に実行されたキャンペーンであることがわかります。
1つの街の屋外広告を1つの企業で一色にした「The Final Hashtag」。スポンサーシップのアクティベーションとしてだけでなく、屋外広告の効果的な活用事例としても非常に参考になる施策ではないでしょうか。
屋外広告の活用も1つの手段
スポンサー企業によるキャンペーンは数多く生まれており、東京オリンピックに向けて今後も増えていくことが予想されます。数多のキャンペーンの中から人々の目に止まるためには、様々なリソースを効果的に活用し独自の色を出すことが求められます。
キャンペーンの宣伝となると、CMやSNS、オウンドメディアなどが主流ではありますが、今回のハイネケンによるキャンペーンのように屋外広告を活用することも1つの方法です。他社とは違う施策を打つことで一歩抜き出ることができるかもしれません。
ハイネケンによる「The Final Hashtag」のような、屋外広告を活用したスポンサーシップのアクティベーションが今後も生まれていくことを楽しみにしたいと思います。