公式アカウントからハイライト動画を直接配信
TwitterはFA(イングランドサッカー協会)と提携し、エミレーツ航空がタイトルスポンサーを務める国内カップ戦「エミレーツFAカップ」のハイライト動画を英国外のファンに届けるための「DM Bot」を作成している。
ユーザーはこのDM Bot上で言語とお気に入りのクラブを選択し承認すると、@通知でハイライト動画を受け取ることができるようになる。(注意:DMで直接動画が届くというわけではない。)ハイライト動画には、30秒以内のものや2分間のものなど様々ある。
登録方法は以下の通り。
イングランド国内カップ戦「エミレーツFAカップ」のハイライト動画を受け取ることが可能に⚽️
手順
1. @EmiratesFACup のページからDMをクリック
2. 言語を選択
3. お気に入りのチームを選択
4. Confirmをクリック試しに登録してみました🙋♂️ pic.twitter.com/4g2ZTXcNAU
— SPODIGI【スポデジ】 (@Spodigi_K) 2019年1月6日
動画が送られると、下のツイートのような@通知のお知らせが来る。お気に入りのチームが敗退した場合は再度チームを選び直すことも可能だ。
@Spodigi_K ⚽️ (Origi, 51’) pic.twitter.com/nlKo47V7SD
— The Emirates FA Cup (@EmiratesFACup) 2019年1月7日
現在、このハイライト動画配信は、アメリカ、インド、タイ、ブラジル、エジプト、ナイジェリアを含む10以上の国の、アーセナル、チェルシー、リバプール、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、トッテナムのファンが対象となっている。
TwitterとFAは、今後もこの機能が利用できるクラブと国を拡大していく予定だという。
ファンに正確にコンテンツを届けることが可能に
Twitterの大きな特徴はそのリアルタイム性にあり、多くのクラブや大会の公式アカウントが試合中に何かアクションがあるたびにツイートして、ファンにコンテンツを届けている。しかし、通常のタイムラインに投稿する形では、ファンがそのツイートを見逃してしまう可能性がある。国外のファンであれば、時差の問題などでリアルタイムに試合や公式Twitterを見ることは難しいだろう。
しかし、この機能で直接動画を送る形を取れば、ハイライト動画を正確にファンに届けることができる。事前に承認を得るため、ファンに不快感を与えないということもポイントとなっている。ファンとしても公式アカウントから直接送られてくるため、より親近感を感じるだろう。
FAのマーケティング本部長であるジョージア・ルイスは「Twitterとのパートナーシップは、この大会がファンエンゲージメントの最前線であり続け、世界中のファンが日々のスケジュールやロケーションに関わらず、試合にライブアクセスするために不可欠なものです。」のように述べ、このDM Botを活用してファンとのエンゲージメントを高めていきたいという意志を示している。
スポンサーに新しい価値を提供するチャネルへ
この新機能は、スポンサーに新しい価値を提供しマネタイズに繋がる可能性を秘めたものだ。事実、タイトルスポンサーであるエミレーツ航空の露出は増えている。
DM Botでハイライト動画の受け取りを承認したファンは「コアファン」として定義付けすることができる。そのコアファン一人ひとりに直接アプローチできることが、この施策のマーケティングチャネルとしての最大の特徴と言える。
今はハイライト動画の配信のみだが、環境が整備されれば、コアファンに向けたスポンサーとのタイアップコンテンツの配信や新たな広告枠の設置なども可能になり、スポンサー企業のアクティベーションをより支援できるようになるだろう。そうなれば、スポンサーに新しい価値を提供でき、スポンサー収入の増加も期待できる。
ルイス氏が述べるように、現代ファンのスポーツメディアの消費は多様化しているため、各メディアの特性とそれに接触するファンの特徴を理解した上で、施策を練ることが求められている。そうした意味で、今回のTwitterとFAによるこのDM Botは新たな可能性を生むものであり、今後も注目していくべき事例であろう。