今回は、UEFAチャンピオンズリーグのスポンサー「UniCredit(ウニ・クレディト)」によるスポンサーシップのアクティベーション事例をご紹介します。
イタリアの大手銀行であるUniCreditは、チャンピオンズリーグのオフィシャル・バンクを務めています。
UniCreditは、昨年のチャンピオンズリーグ決勝戦「レアル・マドリード vs アトレティコ・マドリード」に際して、SNSを活用してファンの関心を弾きつけるユニークなキャンペーンを行いました。
Twitterで決勝戦の「現地の音」をツイート
UniCreditは、Twitterで決勝戦の「現地の音」をツイートするという、ユニークなキャンペーンを行いました。
#TheSoundOfFinalというハッシュタグも使われたこのキャンペーン。その様子をまとめた動画があるのでご覧ください。
*UniCreditのTwitterアカウントはこちらから。
動画の中でも述べられていますが、これまで画像や動画、アンケートなどの投稿が多いなか、敢えて「音」に着目したのは秀逸な視点です。
そんなUniCreditが行なったこのキャンペーンには、注目すべき点が2つあると考察しました。
1. 現地メディアとの協力
今回の#TheSoundOfFinalは、UniCreditが全て独自に行なったわけではありません。イタリア国内におけるUEFAチャンピオンズリーグの放映権を持つ「Mediaset」という大手メディア企業との協力のもとに行われています。
チャンピオンズリーグ決勝の現地の「音」をリアルタイムで発信するというのは非常にクリエイティブなアイディアです。しかし、その「音」を高い品質で発信できなければ意味がありません。そこで、映像や音を配信するメディアのプロであるMediasetと協力し、その技術を活用することで、このキャンペーンは成り立っています。
このように、スポンサー同士が協力することで新たな価値(シナジー)を生み出すことができる点も、スポンサーシップのアクティベーションにおいては非常に重要な視点です。
2. ブランドイメージ向上
UniCreditが、#TheSoundOfFinalというキャンペーンをTwitterで展開した一番の目的は、UniCreditという企業のブランドイメージの向上と、その認知拡大にあると考察します。
動画の中で、他の企業で頻繁に投稿される画像や動画ではなく、「音」に着目した点が強調されています。このように他の企業がやらないキャンペーンを実施し差別化を図ることで、話題を生み多くの人々にリーチすることができます。
他の企業と差別化を図る、ファンのニーズにマッチする施策を打つ、この二点がポイントとなり、ファンにUniCreditという企業への興味・関心を持たせる仕掛けとなっています。
自分の好きなチャンピオンズリーグと密接に関わりのある企業にはポジティブなイメージを持つかと思います。その密接な関わりを認知させるために、ただ広告をスタジアムに配置するのではなく、ファンの求める「おもしろいこと」をやることで、結果的にブランディングに繋がります。
この#TheSoundOfFinalの下記の表にまとめてみました。
銀行というビジネスは、特に日本では「お堅い」イメージを持たれがちです。しかし、#TheSoundOfFinalのようなキャンペーンを通して、革新的なブランドイメージの浸透、ファンへのブランド認知を図ることができます。それが最終的に「新規顧客開拓」に繋がり、スポーツに投資したリターンとして返ってきます。
現地メディアの持つ技術の活用、ブランディング効果を狙ったユニークな施策の実行、優れたスポンサーシップのアクティベーションと言えるでしょう。
「銀行」がスポーツにスポンサーをする価値
UniCreditは、#TheSoundOfFinal以外のスポンサーシップのアクティベーションを、昨年のチャンピオンズリーグ決勝戦に際して実施しています。今回は、「音」に着目したアイディアにフォーカスしたいという意図があったのでこのような形にまとめました。
その他の施策も全て、ターゲットに向けたUniCreditというブランドの認知拡大とブランドイメージの向上が主な目的でしょう。チャンピオンズリーグという世界でも有数のスポーツコンテンツを活用することで、新たな顧客を開拓するチャンスを生み出しています。
それに対して、日本の銀行の中でUniCreditのようにスポーツの持つ価値を最大限利用してブランディングを行なっている企業は多くありません。日本の金融関連企業の中からも、巧みにスポーツを活用し、革新的なイメージを持たれるような企業が出てくることを期待したいと思います。