今回は、スイスの電気通信事業会社、「Swisscom(スイスコム)」によるスポンサーシップのアクティベーション事例をご紹介します。
スイスコムは、スイス・スキー代表のスポンサーを務めています。
スイスコムは、今年2月にスイスで開催された、FIS(国際スキー連盟)主催の「アルペンスキー世界選手権」に際して、壮大な大自然を活用し、スイス代表を応援するプロジェクトを行いました。
雪の上の応援メッセージ
スイスコムは、Twitterを通して、ファンからの応援メッセージを募り、それを地上絵のように雪のキャンバスに再現するというプロジェクトを行いました。
その様子をまとめた動画があるので、ご覧ください。
約20kmにも及ぶメッセージが描かれた雪のキャンバスは、サッカーコート16コート分の巨大なスペースを使用しており、非常に迫力があります。
スイスコムとファンの想いはスイス代表の選手たちに伝わり、3つの金メダル、2つの銀メダル、2つの銅メダルという好成績を収め、選手を鼓舞することに成功しました。
今回、スイスコムが行なった「Snow Drawing」プロジェクトには、人々の関心を集め、結果的に企業ブランディングに繋がる仕掛けが2つあると考察しました。
1.「スイスコムの技術で選手を応援したい」という明確なストーリー
今回の「Snow Drawing」プロジェクトは、「スイスコムの技術でスイス・スキー代表の選手を応援したい」という明確なストーリーが打ち出されています。
スキーはスイスでも人気のスポーツであり、国民の注目度も高いです。そのスイス・スキー代表を、スイスコムの高度な電気通信技術を活用し応援するというストーリーは、人々の共感や関心を集めやすい構図となっています。スイスという国のイメージとも重なり、国民と密接な関係のある大自然(雪山)をキャンバスとして活用している点も、それを助長する要因でしょう。
スキーという国民的スポーツ、自社の強みである電気通信技術、広大な雪のキャンバスの活用、全てが巧みに組み合わさり、明確なストーリーを生んでいます。その明確なストーリーが多くの人々の共感と関心を生み、結果的に電気通信技術のアピール、スイスコムという企業の認知拡大、ブランドイメージの向上に繋がると考察します。
2. ファン参加型のインタラクティブなプロジェクト
この「Snow Drawing」プロジェクトの大きな特徴は、Twitterでファンからメッセージを募り、それをテクノロジーで可視化させている点です。ファンはtwitterでの応援メッセージを通して、このプロジェクトに「参加」している気持ちを味わうことができます。
このように、スイスコムとファンが相互に関わること(=インタラクティブ)で、スイスコムの一方的な応援メッセージではなく、ファンと共に作り上げる一体感のある応援メッセージとなります。
ただ「応援しています」というようなメッセージを送るだけでは、一方的なメッセージで、注目を集めるのは難しいです。ファンとスイスコムが一体となる構図を作ることで、人々の関心を生み、スイスコムという企業のイメージアップに繋がると考察します。
今回の「Snow Drawing」プロジェクトを表にまとめました。
明確なストーリーと、ファンを巻き込むインタラクティブな手法が用いられたこのプロジェクトは、人々の心に刺さる仕掛けを施している点で、優れたスポンサーシップのアクティベーションと言えるでしょう。
テクノロジーの活用は今後の鍵
今回のスイスコムの事例が示してくれたように、テクノロジーを活用することで、スポンサーシップの活用の幅が大きく広がります。テクノロジーを効果的に活用することで、多くの人々の関心を集めるプロモーションやプロジェクトを行うことができます。
VRやプロジェクションマッピングがスポーツ業界でも話題になっており、実際に活用する事例が増えています。こうした動きは今後も増えていくのではないでしょうか。スポーツ×テクノロジー×スポンサーシップの分野には今後も注目していきたいと思います。