今回はJリーグのオフィシャルパートナー、ヤマザキビスケット(YBC 旧:ヤマザキナビスコ)によるスポンサーシップのアクティベーション事例を紹介します。ヤマザキビスケットはリーグカップスポンサーを務めています。
ヤマザキナビスコからヤマザキビスケット(YBC)へ
2016年2月、ヤマザキナビスコ株式会社は同年9月にヤマザキビスケット株式会社に社名を変更すると発表しました。これは、親会社である山崎製パンと、「リッツ」や「オレオ」で有名なアメリカのビスケットブランド「ナビスコ」を所管するモンデリーズ・インターナショナルとの契約が切れたことに起因します。
リーグカップのタイトルがルヴァンカップに変更
それと同時に1992年から始まったリーグカップのタイトルも、今年8月31日から始まるノックアウトステージより、「ヤマザキナビスコカップ」から「YBCルヴァンカップ」へと今年の6月から変更されました。YBCというのは、「Yamazaki Biscuits Company」の略です。また「ルヴァン」とは、ヤマザキビスケットの新商品でこれまで取り扱っていた「リッツ」に似た、四角い形のビスケットです。
実はこの名称変更、ヤマザキビスケットサイドからではなく、Jリーグサイドから名称の変更と、大会名に新商品の「ルヴァン」をいれることを提言しています。約4半世紀スポンサーを務めている現ヤマザキビスケットが新しいスタートを切るこのタイミングで、Jリーグとしても支えたいという思いがあったそうです。
ルパンとルヴァンをかけたプロモーション
10月15日にガンバ大阪と浦和レッズによる、YBCルヴァンカップの決勝が行われます。それに際して、ヤマザキビスケットはあるプロモーション動画を作りました。
まずは下記の動画をご覧ください。
ヤマザキビスケットが行ったこのプロモーション、ポイントは大きく2つあります。
1.ルパンとのコラボ
ルパンという多くの人が知るキャラクターを活用することで、このプロモーション自体がキャッチーなものとなっています。また、「ルパン」と「ルヴァン」が似ているとルパン自身も動画の中で話をしていてとても印象に残ります。ストーリー的にも泥棒であるルパンがルヴァンカップを次のお宝として狙うという形で本編のストーリーにも関連付けられています。
ヤマザキビスケットは会社の名称を変更したばかりです。同時に新商品の認知を獲得していかなければなりません。ルパンとコラボすることで、サッカーだけでなく、ルパンが好きな人々にまでアプローチすることができます。
ルヴァン×ルパン×サッカーという3つを合わせることで、多種多様な人々にアプローチを図るのがこのプロモーションの狙いでしょう。ストーリーも非常に明確で伝わりやすいです。ルヴァンの認知拡大を図る上で、ルパンを起用したことは非常に効果的な手段であったと考察します。
SNSの活用
このプロモーションを初めて目にしたのはFacebookの広告でした。広告配信を行ったのはヤマザキビスケットではなくJリーグの公式アカウントです。Facebook広告はユーザーの年齢、性別、エリア、興味関心などの要素をもとにターゲットをセグメント(分類)し配信することができます。したがって、サッカーに興味あるユーザーだけに広告配信なども可能です。またTwitterなどを通して宣伝もされています。
そしてここでの一番大きなポイントは配信元がJリーグの公式アカウントだということです。Jリーグのアカウントには多くの閲覧者がいますし、その分投稿も高いリーチ数を見込むことができます。
こうしたSNSでの情報配信もスポンサーが得ることができる特権の1つです。契約次第でこういったプラットフォームも活用できます。SNSの普及によりスポンサーシップのアクティベーションの方法も多様になっています。こうしたデジタルプラットフォームの活用も非常に重要で、こうした施策が今後増えていくことでしょう。
Win-Winな関係がスポンサーシップのアクティベーションを強固にする
今回のスポンサーシップのアクティベーション事例は、宣伝したい新商品と関連性の高いキャラクターを起用する、拡散力のあるスポンサー先のプラットフォームから情報を配信する、この2つがポイントでした。
これもJリーグとヤマザキビスケットが築き上げてきた良好な関係があってのことです。リーグカップを宣伝したいJリーグ、新商品ルヴァンをプロモーションしたいヤマザキビスケット、両者がWin-Winな関係であるからこそ行えたプロモーションであると言えるでしょう。スポンサーする側とスポンサーされる側、その理想な関係を教示してくるようなスポンサーシップのアクティベーションと言えます。