今回は、オリンピックのワールドワイドパートナーである「コカコーラ」による、スポンサーシップのアクティベーション事例を取り上げます。
コカコーラによるスポンサー活動
コカコーラはワールドカップを筆頭に様々なスポーツのスポンサーを務め、スポーツマーケティングを積極的に推し進めている企業です。また選手個人にもスポンサーをしています。
今年の8月に開催されたリオオリンピックに際して、コカコーラは様々なキャンペーンを仕掛け、世界中の人々にアプローチをしました。
コカコーラは、これら一連のキャンペーンを「#THATSGOLD」と名付けました。これには「アスリートでなくても、誰もがゴールドになれる!ゴールドな瞬間をコカコーラと一緒に味あおう!」というメッセージが含まれており、日本を含め全世界に発信しています。
今回は、数ある#THATSGOLDのキャンペーンの中でも日本マーケット限定に行った、日本コカコーラ社の新サービスに紐づいたプロモーションキャンペーンを取り上げます。
リツイートの数だけコカコーラを抽選でプレゼント
コカコーラは自社の新アプリ「Coke On」を活用し、リツイートの数だけコカコーラを抽選でプレゼントするキャンペーンを行いました。
参加手順は以下です。
- 「Coke On」 というアプリをダウンロード
- 日本代表の選手が金メダルを取るたびにコカコーラ公式Twitterのツイートをリツイート
- リツイートされた数だけ抽選でコカコーラが当たる
つまりアプリをダウンロードして、リツイートすればこのキャンペーンに参加できます。
Coke Onとはどんなアプリか?
Coke Onは今年の4月に日本コカコーラ社がリリースしたアプリで、街中のコカコーラの自販機と連動しています。
具体的な機能としては
- ・アプリと連動した自販機で1つの飲み物を買う毎に、スタンプが1つもらえて、15枚集めるとドリンクを1つプレゼント
- ・近くのCoke On 連動自販機を探せるマップ機能
- ・コカコーラが手がける様々なキャンペーンに参加できる
といった比較的シンプルな機能を持ったアプリです。
今回コカコーラが行ったキャンペーンの目的は大きく2つあると考察します。
1. オリンピックに熱狂する人々とのコミュニケーション
リツイートされた数だけコカコーラを抽選でプレゼントというのは、コカコーラが日本代表のアスリートが金メダルを獲得する度に、人々と一緒に喜びを体感しようという意図が読み取れます。まさしく#THATSGOLDというメッセージに紐づいています。
オリンピックに出場するアスリートをSNS上で応援できるのは公式スポンサーだけと決められています。コカコーラはこの特権を活用し、Twitterを通して人々とのコミュニケーションを図り、「オリンピックアスリートを応援するコカコーラ」というイメージを人々に植え付け、ブランド価値を向上させる狙いがあると考察します。
2. Coke Onの普及率と認知度の向上
コカコーラが今回のオリンピックに際して行ったキャンペーンは、このCoke Onのアプリのプロモーションを兼ねています。4月にリリースされたばかりの新しいアプリなので、認知度と普及率を高める狙いがあるのでしょう。
このCoke Onは自販機とモバイル端末が連動し、既存の自販機の概念に囚われない、コカコーラの新しいサービスです。このアプリを通して人々に新しい自販機での体験を提供できます。また、Coke Onを活用して収集した購買データから、新たな商品開発や新自販機設置場所の決定などにも活かせるでしょう。
ブランド価値を高めるだけでなく、Coke Onという新しいビジネスを、オリンピックという多くの人の注目が集まるイベントでプロモーションする、コカコーラの巧みなスポーツマーケティングです。
コカコーラの事例に見るスポーツにスポンサーする価値
コカコーラが今回のリオオリンピックで行ったプロモーションキャンペーンは、ご紹介したCoke Onだけではありません。世界中で様々なキャンペーン、プロモーションCM、体験イベントなどを行っています。そうしたスポンサー活動を通して、#THATSGOLDというメッセージを全世界の人々に届けています。
こうした全世界一貫したメッセージを届けることで、コカコーラというブランドのイメージを向上させることに繋がります。これらの活動を行えるのは、コカコーラがオリンピックのワールドワイドパートナーだからです。スポンサーとしての権利を活用して(スポンサーシップのアクティベーション)、全世界に展開できる様々なマーケティング施策を実行することができます。
Coke Onを含め、コカコーラによるオリンピックにおけるスポンサー活動は、スポーツにスポンサーする企業が参考にできることが多くあるかと思います。スポンサー活動を通して行う、コカコーラによるスポンサーシップのアクティベーションにこれからも注目です。